頭文字語・頭字語:最初の文字を並べて新しい略語を作る
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頭文字語・頭字語 かしらもじご・とうじご acronym

『舞-HiME』1巻23ページ([原作]矢立肇、[シナリオ]キムラノボル、[作画]佐藤健悦、[監修]矢口悟朗、[構成協力]吉野弘幸/秋田書店 少年チャンピオン・コミックス)
  • 祐一「さっきのは一体なんなんだ?
  • お前の…腕輪から
  • 出てきた炎とか」
  • 舞衣「そっか……今日転校してきたって
  • 言ってたもんね… これは--
  • 『エレメント』って言ってね…
  • "Hi"ghly-adovanced
  • "M"aterialising
  • "E"quipment
  • 高次物質化能力
  • HiME
  • その力によって
  • 具現化されたものよ……」
-『舞-HiME』1巻23ページ([原作]矢立肇、[シナリオ]キムラノボル、[作画]佐藤健悦、[監修]矢口悟朗、[構成協力]吉野弘幸/秋田書店 少年チャンピオン・コミックス)
  • 定義重要度3
  • 頭文字語・頭字語は、アルファベットなどの最初の文字を並べて、略語を作るレトリックです。

  • 効果

  • 効果1本体の意味が失われ、軽い意味をもつようになる

  • 「頭文字語」を使って作られたことば。このことばは、ふだんの生活の中になじんでいくにつれて、もともと持っていた重厚さを失います。その結果、より軽いイメージのことばになります。
  • キーワード:軽い、軽快、すっきり、さっぱり、さばさば

  • 効果2短縮をすることができる

  • この「頭文字語」は、自然発生的に生みだされたものとは限りません。むしろ、何か考えることろがあって生みだされるほうがふつうです。なので、短縮された語を使うだけでなく、自分の手で「頭文字語」を発信することもできるわけです。
  • キーワード:縮む、縮まる、つづめる、縮める、短縮
  • 使い方
  • 使い方1単語の頭文字を利用する

  • 単語の頭文字を採って、それをつなげることで作る。それだけです。けれども、どの単語の先頭を残すのか。逆にいえば、どの単語の頭文字を切り捨てるか。その辺にはセンスが求められるでしょう。
  • 例文を見る)
  • 引用は『舞-HiME』1巻から。
    この、コミックス版の『舞-HiME』は、アニメとは別のストーリー展開をしています。ですので、『舞-HiME』のアニメを見ている人にも、引用したこのシーンまでの説明を読んでみて下さい。

    まず、主人公は「楯 祐一」。そこのところから、まずアニメとは違う。

    で、その祐一が転校してきて初登校をしようとしている時、「舞衣」たち「HiME」が戦っている場面に遭遇する。腕輪から炎を出したり、まあ、要するにふつうでない戦い方をしている。

    それで、その戦いが終わった後が、引用のシーン。
    祐一が「なんなんだ? お前の…腕輪から出てきた炎とか……」という質問に舞衣が答えているのが、引用のシーン。
    • "Hi"ghly-adovanced
    • "M"aterialising
    • "E"quipment
    • 高次物質化能力
    • HiME

    による能力であるとのこと。
    で、「頭文字語」は、解説までついているので、これ以上語ることは何もありません。それぞれの頭文字を取って、「HiME」になっています。
  • 例文を見るその2)
  • ([原作]谷川流、[マンガ]ツガノガク、[キャラクター原案]いとうのいぢ/角川書店 角川コミックス・エース)
    • ハルヒ「世界を大いに
    • 盛り上げるための
    • 涼宮ハルヒの団!!略して・・・
    • SOS団!!」


    この「舞-HiME」のほかに「頭文字語」が使われているものとして。

    例えば、すぐ右にあげた『涼宮ハルヒの憂鬱』から、ちょっと例を出してみます。

    作品設定。
    主人公の涼宮ハルヒは、かなり変わっている。
    新しく入った高校での自己紹介。それは、こんなものだった。
    この中に宇宙人・未来人・異世界人・超能力者がいたら
    あたしのとこへ来なさい
    以上! (1巻7ページ)

    とまあ、こんな感じで毎日を過ごす女の子、それが涼宮ハルヒ。(このシーンの画像は「 論議拒絶」のページにあります)

    そんなハルヒには、入りたいと思える部活動がなかった。というか、ある意味で当然のことかもしれない。

    で。
    ハルヒは結局、学校にある部活動にはいるのをあきらめる。そして、同好会を立ち上げるという方法に打って出た。
    その同好会の名前が、「頭文字語」になっています。
    つまり、
    世界を大いに
    盛り上げるための
    涼宮ハルヒの団!! 略して・・・
    SOS団!!  (1巻32ページ)

    とまあ、こんなふうに命名されています。

    いちおう確認しておくと、世界を→「S」、大いに→「O」、涼宮ハルヒ→「S」ということです。それぞれの頭文字をとって、「SOS」という命名になっています。なので「頭文字語」です。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1日常で使っている「頭文字語」
  • このレトリックは、例をあげれば切りがありません。例えば、「NHK」は「Nippon Hoso Kyokai」の略したもの。「JR」は「Japan Railway」を略したもの。他にも「JAL」とか、「TBS」とか、「JIS」とか…。とにかく、あまりにも日常生活に浸透しています。

    また、これはアルファベットだけに限りません。日本語でも作ることができます。「厚生労働省」が「厚労省」になったりするのは序の口。法律の名前は、特に省略が激しい。「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」→「独占禁止法」→「独禁法」と2段階で省略されたりしています(24文字→5文字→3文字)。「独禁法」という言い方は、すこし専門的な呼びかたでしょうか。

  • 深く知る2「頭文字語」と「新造語法」との関係
  • 「頭文字語」は、「 新造語法」の一種と考えることもできます。つまり、新しく言葉を作り出すときに「頭文字語」が使われることが多くあります。

    その点については、「 新造語法」もあわせてご覧ください。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 頭文字語・頭字語
  • 呼び方1
  • アクロニム・略号
  • 参考資料
  • ●『新語はこうして作られる〈もっと知りたい!日本語〉』(窪薗晴夫/岩波書店)
  • 私(サイト作成者)が読んだ中では、「頭文字語」について一番多く書かれていました。
  • ●『ネーミングの極意-日本語の魅力は音がつくる-(ちくま新書 470)』(木通隆行/筑摩書房)
  • 頭文字をとってつくられた苗字について、ふれられています。「賀の原」→「加藤」といいたようなもののことです。
  • 余談

  • 余談1森?外の「舞姫」との関係
  • ここからは、ちょっと違った話題にうつります。

    結論から先に書くと、
    『舞-HiME』は、森?外の「舞姫」を意識して作られたタイトルではないかと思う

    ということです。
    ストーリーの内容とか、話の展開とかには、たぶん関連性はないと思います。けれども、タイトル部分の『舞-HiME』は、森外の「舞姫」をもじっているのではないかと思うわけです。

    しかしこれは、どのレトリックに分類すればいいでしょうか。
    このあたりの区分は難しいので、ピッタリと「これだ!」という感じのレトリックはありません。

    なお。

    1巻157ページにある、プロデューサー・古里尚丈さんの話によると。
    『舞-HiME』というのは「僕のお姫さま」という意味で、(後略)

    と書かれています。つまり、「My」+「姫」という意味なんですね。