[明示引用 めいじいんよう]
〔多重〕の原理に立つ文彩である《●引用法》の一種。
引用の範囲や作者・出典などを明記して、はっきり引用とわかるような形で引用する修辞技法。
と書いてあります。
で。
コレに対する「暗示引用」の定義を、このサイトと同じように使っているもの。そのような本としては、
『わざとらしさのレトリック?言述のすがた-(講談社学術文庫1150)』(佐藤信夫/講談社)
があげられます。こちらも、引用してみると
伝統的なレトリック理論の中に、アリュージョンまたは《暗示引用》という用語がある。ひろい意味では、それは引用の一種だけれど、せまい意味では《引用》に対立する。古来、引用には出典を明示するのがエチケットだろうが、アリュージョンは、表現を借りておきながら、貸し主を明示しない。無断で借りた上に、ときには借りたものに手を加えて変形してしまうこともあって、[...以下略]
とあります。よく読むとわかるのですが、
●せまい意味の「暗示引用」
「なんという本から引用したか」と「だれの書いたものを引用したのか」とが、きちんと書かれていないもの。
□ひろい意味の「暗示引用」
「なんという本から引用したか」と「だれの書いたものを引用したのか」とが、きちんと書かれていないもの。というのにプラスして、引用したヒトが引用文になにか手を加えているもの。
といったかんじに、まとめることができます。
そして
このサイトでは、上の
●せまい意味の「暗示引用」のことを「暗示引用」と位置づけています。
なお。
『レトリック認識(講談社学術文庫 1043)』(佐藤信夫/講談社)にも、これに似た解説がのっています。
このサイトと同じ意味で「明示引用」ないし「暗示引用」という用語を使っているものは、ほとんどみつけることができません。ですがこのサイトでは、あえて「明示引用」・「暗示引用」というレトリック用語を採用します。