文法で、「破格構文(anacoluthon)」といったばあい。それはふつう、文法と比較して考えたばあいには、「うっかりしていて」文法ルールに違反してしまったことをいいます。そして、この「うっかりミス」というのは、大きく分けると2つのパターンに分けることがます。
- ことばの知識が不足していることから、文法にミスが出てしまったパターン
- 話しことばの中で、文法どおりにことばを使わなかったパターン
という、2つのパターンです。そして、ここで注目しておきたいのは、「2.」のほうです。
それはナゼかというと。
人間が話をするために、ことばを使う。
そのときには、文法のルールどおりに話をすることは「ほとんどありえない」
からです。
たとえば、
話をしているうちに、べつの考えがアタマの中に浮かんできた。
なので、話をしている途中に、最初に話している文を止めてしまう。そして、頭に浮かんできたことを話しはじめる。
といったことは、ざらにあります。ほかにも、
話の途中で、相手が割りこんで話しはじめた。なので、自分の話は、とちゅうで打ち切った。
このように、話しことばの中では、文法の規則どおりではないような表現ばっかりです。そして文法のルールに照らして考えれば、このようなものでも「破格構文」といえます。
ですがレトリックでは、こういった文法でいう「破格構文」とちょっとニュアンスがちがいます。ふつうレトリックの世界では、そういった文法のルールに対する違反を、わざと表現として使うことを指します。
なので、どうしても。
レトリックで言う「破綻構文」というのは、書きことばのほうに多く出てくることになります。まあ、とても話が上手であれば、話しことばでも「わざと」ミスをすることも考えられます。ですがどうしても、1回きりで終わってしまう「話しことば」よりも、書き直しができる「書きことば」に重心がおかれているといえます。