このことを、もうすこし分かりやすくするために。
ひとつ、例をあげてみます。
引用は、『魔法先生ネギま!』1巻から。
主人公は、ネギ。10歳。イギリスで、魔法使いの修業をしていた。
そして、その修業の締めくくりとして。日本で英語の先生をするように、という指示が出る。
そういったわけで。わずか10歳なのに、先生ということになった。しかも、日本で英語を教える相手は、うら若き女子中学生。
そして、アスナ。彼女は、その「うら若き女子中学生」のうちの一人。そして、かいつまんでいえば「年上が好き」。それは、ウラを返せば「ガキがキライ」ということになる。
そのこともあって、ネギ(10歳)が担任になると知って、猛烈に抗議して怒りをあらわにする。それが、引用のシーンです、
チビでマメで
ミジンコで…
ま、つまり。「ガキがキライ」なのです。
ここで問題としたいのは。
この表現が、いったい「
漸層法(狭義の)」と「漸降法」の、どちらであるというかということです。
結論をいえば。これは、「
漸層法(狭義の)」にあたります。つまり、表現のトーンを次第に強くする、というパターンのほうなのです。
つまり、ここでアタマに置いておかなければいけないことは。けっして、表現している中身を見て「背が低くなっている」ということに、まどわされてはイケナイということです。
もちろん。
「チビ」と「マメ」と「ミジンコ」の3つで、大きさをくらべれば。あきらかに「だんだんと大きさが小さくなっている」。いいかえれば「だんだんと背が低くなっている」はずです。
ですが。
ここで、アスナが主張していることは。あくまで、「背が低い」ということ(を非難するというもの)です。ちょっと分かりにくく書けば。アスナが言いたいのは、「背の高さ」ではなくて「背の低さ」なのです。
したがって。ここで使っているアスナのセリフは、
(×) メッセージのテーマとなっている「背の高さ」というものが、だんだんと弱くなっている。
と考えて、「漸降法」にはしません。
そうではなくで、
(×) メッセージのテーマになっている「背の低さ」というものが、だんだんと強くなっている。
と考えて、「
漸層法(狭義の)」というほうになります。