- 八雲「ねぇ姉さん 何をしたいのか
- まだわからないんだけど…
- 邪魔じゃない その弓……」
- 天満「ん! 気配じゃ 気配を感じる!
- 八雲殿 拙者 朝餉は遠慮致す!」
- -ここ6コマ省略します-
- 天満「情熱あふれる
- 恋文(ラブレター)の出し方…
- それは矢文!!これよ!」
-『School Rumble』1巻110-111ページ(小林尽/講談社 少年マガジンコミックス)古語法は、古くなった言葉をあえて使うレトリックです。つまり、むかしは普通に使われていたけれども、現在では用いられなくなってしまった古めかしい言いまわしを、意図的にすることをいいます。
「古語」を使う
- むかしは使われていた。でも、いまはほとんど使われていない。そんなことばを使えば、「古語法」はできあがります。これが、単純で手軽で、しかも得られる効果も大きい方法です。なのでまず、この方法が一番手となります。ふつうは、モノゴトをあらわす名詞のうちで、古い時代のモノを探すことになるでしょう。
- :過去、昔、昔日、往時、往古、千古、既往、旧時、ひと昔、大昔、いにしえ、当時、時分、元(もと)、以前、一頃、一時、かつて、過ぐる、使われなくなった、古語、古典語
古文との文法の違いを利用することもできる
- たとえば、係り結びを出してくるとか。ほかには、活用の違いを利用するとか。単に、モノそれ自体を指ししめす単語を古いことばにするだけが、「古語法」ではありません。むかしの「古文の文法」を利用することでも、「古語法」をつくりだすことができます。
- :古文、古典、古典文学、古典主義、古典的名作、擬古文、擬古体
用いる文字や仮名づかいの違いでも「古語法」
- むかし使っていた漢字は、もっとゴチャゴチャっとしたものでした。「虫」を「蟲」と書くだけで、なんとなく古い時代のイメージがわいてきます。また、仮名づかいを「旧仮名づかい」にするのも、おなじく歴史を感じさせることができるものです。このようなものも使うことができます。
「ウソの古語」を捏造しない。
- 「古語法」で使われるのは、むかしのことばです。そして、いまわたしたちが日ごろ使っているのは、現代語です。となると、どうしても「まちがった古語」ができてしまったりするのです。
でも、「100%の古文」もツラい
- ですがまあ、100%の古文を使うわけにもいきません。100%の古文を見たら、学生時代の古文の授業を思い出します。おそらく、そこは艱難辛苦や阿鼻叫喚だけの無間地獄だったはずです。そんなヤバイ経験を読み手に思い出させるのは、ひかえておくのが得策でしょう。
現代の世のなかでも、むかしとほとんど同じ意味で使われていることば。これも、ばあいによっては「古語」に含めることがあります。
右の例を見てみると。右のイラストは、もちろん現代語では「もも(桃)」と呼びます。
では、むかしは何という名前だったかというと。やっぱり、いつの時代でも日本では「もも(桃)」というものでした。『古事記』にも「もも」が出てくるので、「もも」は大昔から「もも」ということばで呼びあらわされていたはずです。この「もも」は、イザナギさんが魔除け(?)の武器として、3つほど投げつけたりしています。
これは。
とくべつ「古語」であると、意識することがないのがほとんどです。ですが、広い意味では「古語」というカテゴリに入ることになります。
昔のヒトも使っていた。いいかえれば、古い時代「でも」使われていた。そのような理由から、広い意味では「古語」の一員に加えることがあります。
- 「古語」が使われる場面
- 「ことわざ」、「箴言」などのなかで、「ことわざ」とか「成句」といった言いまわしの決まったものは。おおくのばあい、むかしから使われています。そのため、古い時代のことばが残っていることがあります。そういえば、「灯台、もと暗し」という諺がありますが。じつは、ここでいう「灯台」というのは「部屋で使う照明器具」のことを指しています。(⇒くわしくは「
ことわざ・諺」「
箴言」「慣用句「
成句・イディオム」」ページも、あわせて参照してください)
- 「地域方言」のなかで=方言周圏論
- ふつうに「方言」といったばあい、その土地ごとの「訛り」なんかのことをいいます。学問としてはこれを「地域方言」と、呼んでいます。
で。
この「地域方言」のなかには。古い時代に使われていたことばが、残っていたりすることがよくある。つまり「古語」といわれるものが、中央から離れた土地の「方言」として使われていたりする。そういったことが、(それが理論といえるほどに)多い。この現象のことを、「方言周圏論」といいます。
「方言周圏論(方言周圏説)」について、くわしいことは。「地域方言」のページのほうで、書く予定にしています。ですがまだ、このサイトには「地域方言」のページがありません。ですので申しわけありませんが、もうしばらくお待ち下さい。
- 「社会方言」のなかで
- 学問の上としては、「方言」という用語には。「地域方言」のほかに、もう1つ違ったカタチものが含まれます。これを「社会方言」と呼んでいます。
「社会方言」というのは、社会のグループごとに違った言葉づかいをしていることをいいます。
たとえば「上流階級」が使っていることばと、「労働者階級」が話していることば。この2つには、違いがあります。また、「お役所ことば」とか「若者ことば」といったもの。たしかに「お役所」や「若者」のなかでは、ほかの人たちとは少し(かなり?)違った、会話のやりとりをします。こういったものを、「社会方言」といいます。
とくに、「古語」が残っていやすいところ。つまり、「社会方言」のなかに「古語」が、消えずにとどまっていることが多いグループ。
1つは、「卑語」と呼ばれることばのグループ。つまり、相手をオドしたりする汚らしいことばを使うのを得意とした集まり。このなかには、わりと「古語」が残っています。
そしてもう1つは、かなりの上流社会の人たちのグループ。とくに、皇居に住んでいる方々に親しいメンバーたち。こちらにもまた、いろいろな「古語」が見受けられたりします。