例文は、『クロスゲーム』から。
主人公は、樹多村光(きたむら こう)。小五。
そして、樹多村の口から
「好きな男達がたくさんいて」
と言われている女の子は、月島若葉。彼女も、同じく小五。
でも、まあ。
くわしいキャラ設定は、今回は説明する必要がなさそうです。
たとえば、樹多村の家がスポーツ用品店で、月島若葉の一家がバッティングセンターを営業しているという都合もあって親しくしているとか。そういったことは、「頓降法」というレトリックとは関係ありません。
じゃあ、何が「頓降法」と関係しているのかというと。それは、主人公の樹多村のことを「おもしろくない」と思って攻撃してくるキャラたちの、ケンカの強さををならべた順番です。
右の例文を見ても、すぐにわかると思いますが。学年で一番ケンカの強い
↓
三番目に強い
↓
五番目の
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圏外の
という説明の順番になっています。つまり、1番(トップ)→3番→5番、というところまでは、順調に「下がって」いたはずなのです。それなのに、とつぜん「圏外」という「急に落っこちた」説明になっています。
これを、レトリックっぽく分析すると。この表現は「頓降法」に加えて、「
漸降法」というレトリックもプラスされているともることができます。
「頓降法」も「
漸降法」も、どっちもマヌケっぽさを出すためのレトリックです。なので、「マヌケっぽさ」の効果がレベルアップして、さらに強くなっているといえそうです。
なお、この表現については。
「
降移法」というレトリックにふくまれる、と考えることもできそうです。この「
降移法」については、くわしくはリンク先のページをご覧ください。
じつは。
ちょっとヘンな流れをした「頓降法」、というものがあります。
どこが「ちょっとヘン」なのかというと。途中まで、すでに「下がって」いたものが、急に落っこちる
といったパターンになっている、そんなものがあるのです。