- 動詞の連用形→名詞 (例:読み・書き)
- 形容詞の連用形→名詞 (例:多く・遠く)
- 他の品詞→副詞 (例:はじめ・たとえ)
- 他の品詞→接続詞 (例:なお・また・および・けれども)
- 他の品詞→間投詞 (例:よし・ちょっと)
このばあいの「転成」というのは、「ゼロ派生」タイプのことを指しています。
- 「転成(品詞転換)」に関連するレトリック用語
- 「転成(品詞転換)」は、ことばを本来とは違った使いかたをするものです。つまり、ルール違反をした言葉づかいをするということです。
そのため、「転成(品詞転換)」によって生まれた単語は、そのカタチだけを見れば、間違いということになります。
このように、「転成(品詞転換)」が形式的には「間違い」となります。この点に着目することもできます。そのばあいには、「
マラプロピズム」(誤用語法)だということもできます。
- 「転成(品詞転換)」があると、不自然になる
- 「転成(品詞転換)」が生じると、違和感が出てきます。その不自然な感じを持ってしまう理由をかいておきます。
- 「ぬけぬけ」+「~しい」=「ぬけぬけしい」は、不自然
- 「~しい」というのは、接尾辞(または活用語尾)の1つです。名詞とか動詞の未然形とかにくっついて、形容詞をつくります。そのものの様子とか状態とかをあらわすのに、使います。
なので、ふつうは「ぬけぬけ(と)」という「副詞」には使われません。ルール違反です。「ぬけぬけしい」は、不自然なのです。
ところが、わざとルール違反をする。たとえば今回のように、名詞や動詞につく「~しい」ということばを、「ぬけぬけ(と)」に結びつける。そして、今までにない新しい形容詞をつくる。ここが、「転成(品詞転換)」だと指摘できるわけです。
- 意味がダブっているので不自然に感じる
- では、「ぬけぬけ(と)」と「~しい」とで「ぬけぬけしい」を作る。これが、なぜ不自然だと思うのか。その理由は、おそらく、
効果が重なっている
からです。「ぬけぬけ(と)」という副詞、それ自体が状態や様子をあらわしている。にもかかわらず、状態や様子をあらわす形容詞の接尾辞(または活用語尾)である「~しい」を使う。状態や様子をあらわすという効果が、二重になってしまっているわけです。
ことばを使うときは、なるべく手短に伝えるのがふつうです。ことばは、できるだけカンタンに用いられます。これは「ことばの経済性」とよばれるものです。
なのにもかかわらず、効果が重なっている使いかたをする。それはつまり、「ことばの経済性」に反していることになります。
なので、ふつうは「副詞」と「~しい」とをくっつけることは、しません。したがって、「ぬけぬけしい」は不自然なのです。
- 「ヲタしい」のほうも、ダブっていて不自然
- 「転成(品詞転換)」と「マラプロピズム」との関係
- 「転成(品詞転換)」は、ことばを本来とは違った使いかたをするものです。つまり、ルール違反をした言葉づかいをするということです。
そのため、「転成(品詞転換)」によって生まれた単語は、カタチの上では間違いということになります。
そういった「転成(品詞転換)」がもっている「ことばの使いかたを間違い」という面に着目する。そのばあいには、「
マラプロピズム」(誤用語法)だということもできます。