畳語法:同じ表現のことばを続ける
TOPページ畳語法
関連レトリック畳語法

畳語法 じょうごほう epizeuxis

『僕は妹に恋をする』2巻151ページ(青木琴美/小学館 少コミフラワーコミックス)
頼なんか
大嫌い!!

大嫌い 大嫌い
大っ嫌いっ!!

嫌い 大っ嫌い!

大嫌い…

大っ嫌い!!
-『僕は妹に恋をする』2巻151ページ(青木琴美/小学館 少コミフラワーコミックス)
  • 定義重要度4
  • 畳語法は、同じ表現のことばを続けるレトリックです。つまり、同じ(もしくは「ほぼ」同じ)のことばを、つづけていくつも並べてくり返すレトリックです。いちばん基本的な「反復法」にあたります。

  • 効果

  • 効果1言葉を連続することで、強調する

  • 「畳語法」では、伝えるときに言葉を連続するだけで、強調ができます。なので、わりとよく見かける「レトリック」です。
  • キーワード:強調、強い、強まる、強める、強化、増強

  • 効果2音が何度もくり返されることで、リズム感が出る

  • リズム、調子
  • キーワード:リズム、リズミカル、快調、律動的、調子、ペース、流れ、強み、口調、語調、音楽的、快い、心地よい、楽しい、愉快、快感、軽快、音感、感じる、感受

  • 効果3感情に訴えることで、強調をする

  • 同じ単語を何度もくり返すことで、強く感情に訴えることができます。
  • キーワード:感情的、感情

  • 効果4何回も同じことばがくり返されるので、理解を助け深めることができる

  • 同じ単語が何度も反復されるので、受け手(聞き手・読み手)に理解をうながすことができます。
  • キーワード:理解、分かる、解する、通じる、分かり、解せる、通じ、わきまえる、心得る、うなずける
  • 使い方
  • 使い方1作りかたは、カンタン

  • 同じ単語を、何度も連続して使う。ようするに、それだけです。
  • 例文を見る)
  • 引用は、『僕は妹に恋をする』2巻です。

    「郁」と「頼」とは、双子の兄妹。だけれども、お互いに恋愛感情をもっている。

    で、そんななかで「頼」は、「友華」という女の子に導かれるようにして、キスをしてしまう。そのことを「郁」が怒っているのが、引用のシーンです。

    とにかく、
    大嫌い

    という言葉がくり返されています。そのバリエーションは、いろいろとそろっていますが、言いたいのは「大嫌い」ということです。

    なので、これは「畳語法」と考えることができます。

    その効果は、「大嫌い」だということの「強調」です。「畳語法」やそれに近いレトリックは、くり返すことによって「強調」をする場合がほとんどです。

    この兄妹の関係は、実際には「嫌い嫌いも好きのうち」という関係なのですが。
  • 例文を見るその2)
  • ただし、この「畳語法」が単に強調のためだけに使われている場合もあります。

    例えば、『もっといけいけ!バカオンナ』(鈴木由美子/講談社 コミックスキス)

    同棲している男(コウジ)に対して「なーんか もぉあたしたち 別れたほうがよくない?」と言う(92ページ)。
    するとコウジは、「そうだなっ しばらくはなれていたほうがいいかもなっ」と同棲している部屋を出ていく準備を始める。
    「コウジ行っちゃやだ〜〜っっ
    やだ やだ やだ
    やだ やだ(93ページ)

    というように、「やだ」という言葉が5回もくり返されています(いや、6回か?)。これは、「いやだ」ということを強調したものです。こういう、強調するだけの「畳語法」というのもあります。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1他のレトリック用語との関係

  • 深く知るa「畳語法」と「畳音法」「畳句法」との関係
  • このタイプのレトリックは、「 同音反復・畳音法」→「畳語法」→「 畳句法」という順番で、くり返す言葉が大きくなっていきます。

  • 深く知るb「畳語法」と「隔語句反復」との関係
  • 隔語句反復」というレトリックがあります。これは、「間をおいて」何度も同じことばを反復するものです。詳しくはそちらを参照して下さい。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 畳語法・畳語
  • 呼び方1
  • 重複法、重語法、同語連続反復、畳句、エピジュークシス、エピゼウクシス
  • 参考資料
  • ●『日本語解釈活用事典』(渡辺富美雄・村石昭三・加部佐助[共編著]/ぎょうせい)
  • この本は、「畳語」を色々な面から解説してあります。たとえば、「うすうす」「よくよく」といった短い反復を畳語法に含めるか、などの解説があります。
  • ●『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
  • 「畳語法」については、この本がくわしいと思います。「畳語法」を使ったばあいの効果についても、述べられています。