- あたしは 知らなかった…
- 昴治と祐希のことも 現状も
- これから起こることも
- あたしはただほっとしていた
- 避難できたことじゃなくて——
- そういうことじゃなくて——
-『無限のリヴァイアス』1巻49ページ(栗橋伸祐・矢立肇・黒田洋介/メディアワークス 電撃コミックス)倒置法は、ことばの順番を、普通とは逆のものにすることです。つまり、一般的な語順に逆らって、ことばの場所を変えるものです。言いかえれば、通常の語順をひっくり返すレトリックです。
通常の語順をひっくり返す
- あることばを、自然な位置からほかの位置へと移すものです。
ことばの順番を、普通とは逆のものにする
- 一般的な語順に逆らって、ことばの場所を変える。そうすると、日本語の文では、ふつうの(日本語の)文では、述語が最後に置かれます。ですので、これに逆らって述語に当たる部分を先に出してきて、主語に当たる部分を後にもってくる。それが、基本的な「倒置法」のかたちです。
事務的な文章には、使ってはいけない
- たいていのレトリックがそうであるように、「倒置法」を事務的な文で使うことは避けるべきです。
使いすぎたり、乱用してはいけない
- 意識的に「倒置法」を使うと、効果を発揮しやすいレトリックです。これは、日本語のリズムが単調なためです。ですが基本的に「倒置法」は、文のレベルで位置を変えるという大がかりなレトリックです。そのため、これを乱用すると、何が言いたいのかが分からなくなってしまいます。
- :乱用、使いすぎ、みだり、不当、でたらめ、むちゃ、むちゃくちゃ、行きすぎ、余りに、やたら、むやみ、軽はずみ、軽率、軽々、無分別、むやみやたら、ルーズ
- 引用は『無限のリヴァイアス』1巻
このコミックスのほうでは、「蓬仙あおい」が主人公。
その蓬仙あおい達は、宇宙にある航宙士の訓練所(リーベ・デルタ)で訓練を受けながら生活をしていた。しかし突然、事故が発生。とりあえず中央にある宇宙船(リベール)に避難することになる。しかし、同じ訓練所にいたはずの幼なじみの相葉昴治が、避難してきていない。
が、ギリギリのところで昴治は避難できたことを、あおいは知る。それを知ったときの、あおいの独白が引用のシーンです。[[dvsqあたしは 知らなかった… - 昴治と祐希のことも 現状も
- これから起こることも
という引用したところは、文が逆さまになっています。「あたしは知らなかった…」で終わりかと思ったら、つけ足したように「昴治と祐希のことも 現状も これから起こることも」という文がついてきます。この部分が「倒置法」にあたります。
いちおう、これが「倒置法」であることを確認しておきましょう。
本来ならば
昴治のことも祐希のことも 現状も これから起こることも あたしは知らなかった…。
というように、倒置になっていた文章が文の流れどおりに戻ります。ですので、これは「倒置法」に分類されます。