含意法:表現から推論されるよう間接的に伝える
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含意法 がんいほう implication

『ゴーストハント』1巻15〜16ページ(いなだ詩穂・小野不由美/講談社 コミックスなかよし)
  • くつ箱(グラッ)
  • 麻衣「いっ(汗)」
  • ——(ここ3コマとばします)——
  • くつ箱(カラン)
  • 麻衣「うわ——っ!
  • うわ——っ!!
  • うわ——っ!!!
  • は… 花畑を 見るかと
  • 思ったあああ
  • あ——っっっ
  • (ばくばくばくばく
  • ばくばくばくばく
  • ばくばくばくばく
-『ゴーストハント』1巻15〜16ページ(いなだ詩穂・小野不由美/講談社 コミックスなかよし)
  • 定義重要度2
  • 含意法は、直接言うのではなく、表現から推論されるように間接的に伝えるレトリックです。

  • 効果

  • 効果1「含意法」を使って、隠語や暗号などをつくる

  • 「含意法」は、何かを「ほのめかす」レトリックです。なので、「隠語」や「暗号」などをつくる材料になることもあります。
  • キーワード:隠語、暗号、符丁

  • 効果2「なぞなぞ」など、ことば遊びに使われる

  • 含意法には、「ほのめかし」として使われることがあります。「 なぞなぞ」は、「含意法」の特徴に当てはまります。
  • キーワード:なぞなぞ、ことば遊び、言語遊戯
  • 使い方
  • 使い方1遠回しに表現する

  • ストレートには言わないで、遠回しに伝える。意味がくみ取れるように、間接的に伝える。このような言いまわしが「含意法」となります。
  • キーワード:遠回し、くどくど、回りくどい、つながりのある、関連、係わる、関係、結ぶ、結びつく、間接的、遠い
  • 使い方2一見すると、含まないと思われることを含んだ表現をとる

  • ひと目見ただけでは、つながりがないと思われることば。そういったものを、ストレートには言わずに、つながりのあることばを使って表現します。
  • 使い方3表現を受けた人が、つながりを推測する

  • 肝心の情報ではなく、それに関連したことだけを表現します。このことで受け手(読み手・聞き手)は、本当に伝えたいと思っていることを推理することになります。
  • キーワード:推測、推理、推しはかる、くみとる、察する
  • 例文を見る)
  • 例文は『ゴーストハント』1巻から。

    主人公は、谷山麻衣という女の子。

    彼女は、怪談となっている旧校舎に入ってみる。
    するといきなり、くつ箱が倒れて、麻衣を押しつぶそうと襲ってくる。

    で…、その結果。

    麻衣はなんとか助かった。その時のセリフが、「含意法」になっています。
    • は… 花畑を 見るかと
    • 思ったあああ
    • あ——っっっ
    という表現。なぜ「くつ箱」が倒れ込んでくると、「花畑を見る」のか。直接には分かりません。
    ですが、しっかりと読むと、
    • くつ箱が麻衣を押しつぶす
    •   ↓
    • 麻衣は下敷きになって死んでしまう
    •   ↓
    • 死んだ麻衣は、天国へいく
    •   ↓
    • 天国には、花畑がたくさんある
    •   ↓
    • 麻衣は、花畑を見ることになる
    という流れが見えます。つまり、よく考えてみると、意味を理解することが分かるのです。なのでこの例文を「含意法」とします。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「含意法」と他のレトリック用語との境界
  • 「含意法」といえるためには、かなり遠回しの表現でなければなりません。例文であげたものよりは、もう少し遠回しのほうが「含意法」の例としては適当かもしれません。

    「天国」と「花畑」の関係が、私(サイト作成者)の考えているよりも遠回しでない、近いものだと思えば、「 換喩」だと考えてもいいことになります。そのあたりの境界線は、かなり微妙です。

  • 深く知る2『レトリック事典』での「含意」の説明
  • 『レトリック事典』が挙げている《含意》という用語は、このページで書いている「含意法」とは関係ありません。ちなみに、《含意》という用語は《限定語反転》の別名として書かれているものです。なお「限定語反転」については、とりあえず「 代換」を参照してください。

  • 深く知る3「含意法」というレトリック用語の存在意義
  • 「含意法」というレトリックをあえて作る必要があるのか、という議論もあります。実際、レトリックの解説書で「含意法」を解説している本も、少ししかありません。

    ですが、いちおう「含意法」という項目をたてておくことにします。

  • 深く知る4「含意法」と、「反語法」「緩叙法」との関係
  • 「含意法」には、2つのタイプがあります。1つ目が「反語法」タイプ。もう1つは、「緩叙法」に近いタイプです。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 含意法
  • 呼び方2
  • 含意・含意表現
  • 参考資料
  • ●『レトリック辞典』(野内良三/国書刊行会)
  • 「含意法」と、「反語法」「緩叙法」との関係について、考察のある本。
  • ●『背理のコミュニケーション—アイロニー・メタファー・インプリケーチャー—』(橋元良明/勁草書房)
  • この本のタイトルにある「インプリケーチャー」というのが、含意表現(含意法)になります。本のタイトルになるぐらいだから、「含意法」について詳しく書いてあります。