- “かつ見れど うとくもあるかな
- 月光のいたらぬ里も あらじと思えば”
この歌で表面的に詠まれているのは、
「月の光の美しさが自分だけに向かって輝いていない」ということを嘆いたものです。
ですが、その内なる意味は
「綺羅の美しさが自分だけに向かって輝いていない」ということを嘆いているおもわれる、バイ・セクシュアルの兵部卿宮を皮肉った歌になります。
なお、もういちど書くけれども。綺羅は本当は女だけれども、あくまで男として出仕しているわけです。なので、彼女(彼?)に恋心を寄せるということは、バイ・セクシュアルになってしまうのです。周囲では、そう考えているわけです。その点を皮肉っているわけですね。
で要するに、この和歌は、このシチュエーションでは「月でもって綺羅を見立てる」ということになります。これが「見立て」になるわけです。