引用は『フルーツバスケット』4巻から。
最初に「番外編」と書いてあるように、引用したところはストーリーの進行とは関係がありません。つまり、「CDドラマを買ってください」という趣旨で書かれているだけで、それ以上の意味はありません。ですので、ストーリーの説明は省略。
で、単刀直入に、使われている「擬態語」をみてみましょう。そのときに、『現代擬音語擬態語用法辞典』(飛田良文・浅田秀子[共著]/東京堂出版)を引用して使わせていただきます。この本は、- 「〜の様子を表す」と書いてあるものは「擬態語」
- 「〜の音(声)を表す」と書いてあるものは「
擬音語」
と明らかな区分けがしてあるので、「擬音語」なのか「
擬音語」なのか迷ったときに見てみると役立ちます。
では、まず1つ目。ピチピチ
これをさっきの辞典で調べてみると、主に若い女性や子どもが生気に満ちている様子を表す。
という意味だとのこと。そして、「〜の様子を表す」と書いてあるので「擬態語」になります。
しかし私は、この「ピチピチ」が若い男性に対して使われている例を知っています。それは『「すき。だからすき」』(CLAMP/角川書店あすかコミックス)の1巻22ページ。えみちゃんの言葉です。- 「だって——!
- ここ 女子校だよ!?
- 右 向いても
- 左 向いても
- 女ばっか!
- たまにいる男は
- ご高齢な方々!
- ここはひとつ
- あたしらの心を
- 和ますためにも
- ぴちぴちな男教師を…!!」
だけど、これは例外的なものでしょう。やはり、「若い女性や子ども」に対する形容として使われるのが普通だと思います。
CLAMPは『「すき。だからすき」』の中だけでも、「ぽややん」とか「ふわわん」とか、辞書に載っていない「擬態語」を使っています。ですのでこの「ぴちぴち」も、そういった「独特な擬態語」の中の1つだと考えるほうがいいでしょう。
で、2つ目。モエモエ
これをさっきの辞典で調べてみると、載っていません。
まあ、「萌え萌え」なんていう「擬態語」が辞典に載るようになるには、あと数十年かかりそう。
ですが、引用した『フルーツバスケット』4巻が発売されたのは、20世紀です。日本と帝政ロシアが戦争していた時代です。ソ連でもなければCISでもない。帝政ロシアが存在して、そこと日本が戦争していた時代。その時代に、「モエモエ」という言葉を使っているなんて、すごい(いちおう「萌え萌え」についてインターネット上で調べてみたところ、1990年〜1995年あたりから使われだした言葉のようです)。
で、とにかく辞典には載っていないけれど、これも「擬態語」と見ていいと思います。
最後に、3つ目。メロメロ
これもさっきの辞書で調べてみると、本来持っているべき機能をまったく喪失している様子を表す。
という意味だとのこと。そして、「〜の様子を表す」と書いてあるので、これも「擬態語」になります。
そんなわけで、紫呉が言っているのは3つとも「擬態語」に当たります。