例文は『R.O.D—READ OR DREAM—』2巻から。
ミシェール、マギー、アニタの三姉妹は、香港で探偵社をしている。その名前は「紙姉妹探偵社」。
なぜ「紙姉妹」という仕事をしているのか。それは、ミシェール、マギー、アニタの三姉妹は「紙使い」で、紙をあやつって自在に攻撃も防御もできる、そんな三姉妹の探偵社だから。
でも、引用したシーンは、それとはあんまり関係ないのです。
ただ、三女のアニタは、ミシェールのことは「みー姉」、マギーのことは「まー姉」と呼びわけています。これが分からないと引用した部分の意味が分からなくなってしまうので、この「みー姉」「まー姉」は覚えておいてください。
で、このあたりの話の流れを追うと、次のようになります。
暑い。エアコンを買う金がない。…となれば、ここは「怪談話」しかない。
そんなわけで、「怪談話」をすることにした三姉妹。だけど、いくら「ムードが大切」とはいっても、窓を閉めて毛布をかぶっては、よけい暑いと思う。
そんな中で、まずはミシェールがトップバッターで、「これは友達の友達に聞いた話なんだけど……」(83ページ)
と、「怪談話」をする。
で、次がマギーの番ということで、マギーが「怪談話」を始めようとする。そこが引用のシーン。「…これは友達の友達の友達から聞いた話なんだけど……」(89ページ)
と語り始めようとしたところ、アニタのツッコミが入る。まー姉 友達いない じゃん
と、話を中断させるアニタ。そして、ぐさっ
と思うマギー。ここが「挿入法」にあたります。なぜなら、アニタによって「怪談話」が中断されてしまったからです。
けれども、大切なポイントが1つあります。それは、中断された「怪談話」を、マギーは再開して続けている点です。
反対に言えば、もしここでマギーが「怪談話」をやめてしまったら、「
頓絶法」に近くなります。
なお。「これは友達の友達に聞いた話なんだけど……」
というセリフと、「…これは友達の友達の友達から聞いた話なんだけど……」
というセリフが、かなり似ている。そのように考えると、「
照応法」のレトリックも同時に使われていることになります。