おうむ返し:同じセリフをすぐ後に別の人がもう一度くり返す
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おうむ返し おうむがえし parrot,echo

『クレセント ノイズ』1巻108〜109ページ(天野こずえ/エニックス ガンガンファンタジーコミックス)
  • 拓「今の高校生活に…
  • そして未来に
  • 多かれ少なかれ
  • 不安を抱いて
  • 怯えているのは
  • 君だけじゃない
  • 僕も…ううん
  • 学校のみんなだって
  • そうだと思う
  • だって僕達は…
  • こんなにも弱くて——…
  • 脆いんだもの
  • だけど…だからこそ
  • 負けちゃいけないんだ
  • 自分の弱さに!
  • 心の闇に!!
  • 大丈夫… 僕も 響先輩も
  • 五十嵐さんも…
  • みんな 君の傍にいる
  • 僕達は…
  • 独りぼっちなんかじゃ
  • 決してない!!
  • 杉崎「独りぼっちじゃ
  • ——…ない?
  • 拓「だから——…
  • 怖くても未来に向かって
  • 歩いていこう…一緒に!
  • 今できる精一杯の
  • 勇気を持って…
  • 僕達自身の力でっ!!」
-『クレセント ノイズ』1巻108〜109ページ(天野こずえ/エニックス ガンガンファンタジーコミックス)
  • 定義重要度1
  • おうむ返しは、同じセリフをもう一度くり返すレトリックです。ある人が言ったことを、そのすぐ後に、別の人がくり返して言うことになることが多いです。が、まれに本人が同じ言葉をくり返したりすることもあります。

  • 効果

  • 効果1インパクトのある表現を生みだす

  • このレトリックでは、同じ言葉を続けることによってインパクトを与えることができます。<
  • キーワード:インパクト、印象、直感、焼き付ける

  • 効果2同じ音が続くので、リズミカルな表現になる

  • 音を調えて、リズミカルな感じを出すことができます。
  • キーワード:リズム、律動、節奏、リズミカル、好調、快調、順調、律動的
  • 使い方
  • 使い方1あるフレーズを受けた側が、(ほとんど)同じフレーズを返す

  • ある人が言ったことを、別の人がそのままくり返す。これが「おうむ返し」です。ふつうの生活で日ごろ使っている「おうむ返し」と変わりません。
  • 例文を見る)
  • 例文は『クレセントノイズ』1巻。

    1巻の山場のシーンです。いきなりこんなシーンだけ引用してきても、いまいち状況がつかめないかもしれません。でもいちおう、オープニングからここまでの流れを簡単に説明すると、次のようになります。

    主人公は羽崎拓という高校生。
    拓には、人のオーラのような「音」を聴くことのできる特別な能力がある。

    ある日、放課後の学校で、拓は「圧倒的な音」を耳にする。その音の発生現場に行くと、杉崎が窓から飛び降りようをしようとしているとも思える現場に遭遇する。しかし拓は、その場面を「プリントが窓から飛んでいった」と理解する。

    そんなある日。突然、拓と五十嵐の前に「振夜の来訪者」を名乗る男が現れる(空中を飛んで)。五十嵐の説明では、
    いわゆるRPGでいうところの 悪の大神官があいつで…
    私と響が その悪行を未然に防ぎ闘う…魔法使いってとこね
    とのこと。
    この「振夜の来訪者」が、杉崎に狙いをつけていたのだ。杉崎は、「大人になることへの不安」を持っている。その不安を断つために、人間にできること。それが「死」。

    さきほど飛び降りようとしているかに場面。実は、「振夜の来訪者」によってあやつられて、飛び降り自殺させようとしていたのだ。そんなことが分かってくる中で、拓が杉崎に語りかけているのが引用のシーン(引用した拓のセリフのほうは、本当は106ページから始まっていますが、そんな大きさの画像を引用するのは無理。なので、引用した画像の部分は108〜109ページ)。

    まあ。引用までのストーリーはこんな感じかな。本当は「五十嵐とは誰?」の説明も必要だけど、長さの都合により無理矢理に省略しました。でも、長いなあ。

    で、ここまでストーリーを長々と書いておきながら、レトリックの説明のほうは簡単です。拓が言った「独りぼっちじゃない」というセリフに対して、杉崎が「独りぼっちじゃない」と答えているところが、「おうむ返し」に当たります。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1——
  • ——
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • おうむ返し(オウム返し・鸚鵡返し)
  • 参考資料
  • ●『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
  • レトリックで使われている「おうむ返し」という用語。この用語について書かれた、数少ない本。
  • ●『古典文学レトリック事典』(國文学編集部[編]/學燈社)
  • 上でも触れました。和歌の世界での「おうむ返し」が説明されている本です。
  • 別の意味で使われるとき
  • ●和歌での「おうむ返し」
  • 和歌の世界での、「おうむ返し」。これは、はじめの人が詠んだ和歌に対して、それに似た歌を返すことを指していたようです。それがまるで「おうむのよう」だったから、その名がついたのです。