例文は『クレセントノイズ』1巻。
1巻の山場のシーンです。いきなりこんなシーンだけ引用してきても、いまいち状況がつかめないかもしれません。でもいちおう、オープニングからここまでの流れを簡単に説明すると、次のようになります。
主人公は羽崎拓という高校生。
拓には、人のオーラのような「音」を聴くことのできる特別な能力がある。
ある日、放課後の学校で、拓は「圧倒的な音」を耳にする。その音の発生現場に行くと、杉崎が窓から飛び降りようをしようとしているとも思える現場に遭遇する。しかし拓は、その場面を「プリントが窓から飛んでいった」と理解する。
そんなある日。突然、拓と五十嵐の前に「振夜の来訪者」を名乗る男が現れる(空中を飛んで)。五十嵐の説明では、いわゆるRPGでいうところの 悪の大神官があいつで…
私と響が その悪行を未然に防ぎ闘う…魔法使いってとこね
とのこと。
この「振夜の来訪者」が、杉崎に狙いをつけていたのだ。杉崎は、「大人になることへの不安」を持っている。その不安を断つために、人間にできること。それが「死」。
さきほど飛び降りようとしているかに場面。実は、「振夜の来訪者」によってあやつられて、飛び降り自殺させようとしていたのだ。そんなことが分かってくる中で、拓が杉崎に語りかけているのが引用のシーン(引用した拓のセリフのほうは、本当は106ページから始まっていますが、そんな大きさの画像を引用するのは無理。なので、引用した画像の部分は108〜109ページ)。
まあ。引用までのストーリーはこんな感じかな。本当は「五十嵐とは誰?」の説明も必要だけど、長さの都合により無理矢理に省略しました。でも、長いなあ。
で、ここまでストーリーを長々と書いておきながら、レトリックの説明のほうは簡単です。拓が言った「独りぼっちじゃない」というセリフに対して、杉崎が「独りぼっちじゃない」と答えているところが、「おうむ返し」に当たります。