このページの、いちばんはじめの画像は、『ちはやふる』1巻から。
この『ちはやふる』は、「競技かるた」のお話です。
主人公は、綾瀬千早(あやせちはや)。小学6年生の女の子。
彼女のクラスに、新しく転校生が入った。名前は、綿谷新(あらた)。新(あらた)は、「競技かるた」を得意としていた。そして、新(あらた)が「競技かるた」をしている様子を見た千早(ちはや)は、次第に「競技かるた」に興味を持ちはじめる。
「競技かるた」をするためには、まずはじめに、使われる100首の歌を覚えなくてはなりません。なぜなら「上の句」が読まれた時点で、その「上の句」に合う「下の句」を見つけて取らなければならないから。
でも千早(ちはや)は、100首ぜんぶをマスターするのに苦労する。そんな千早(ちはや)と、かるた練習会の先生とのあいだの会話。それが、引用の場面です。
先生が「バッチリ覚えてるのも、あるだろう」と聞く。それにたいして千早(ちはや)は、- やっぱり
- 「ちはやふる」
- かなあ
- 綿谷くんが
- あたしの名前の
- 札だって」
といっています。なぜなら 「ちはやふる」という歌の最初に、自分の名前「ちはや」が入っているから。本人も、そういっています。
そして。
この 「ちはやふる」ではじまる和歌は全文では、どのようなものかというと。それは、引用してある画像に書かれているように、というものです。
さてここで、とりあえず。
引用に出てきた和歌を、漢字仮名交じりに直させてもらいます。
どうしてかというと引用した画像は、そのままでは非常に読みづらいからです。和歌が、すべて「ひらがな」で書かれています。しかも、上の句は口語体で下の句は文語体になっています。これでは分かりにくいのです。
で、漢字仮名交じりに直すと、ちはやぶる神世も聞かずたつた河 唐紅に水くくるとは (在原業平)
となります。そして、とりあえずの口訳を書いておくと。- (不思議なことや珍しいこと多かった)
- 神代にも聞いたことがない。
- この竜田川の水を(流れる紅葉が)、
- まっ赤な色にくくり染めにしたとは。
といったあたりのことです。
で。
やっと、「枕詞」の説明をする準備がととのいました。ここから先、「枕詞」について見ていくことにします。
この和歌には、「ちはやぶる」という「枕詞」が使われています。
ですので、「ちはやぶる」という語句でもって「神」を修飾している。「神」がどんな様子なのかということを、「ちはやぶる」という言葉が説明している。そのように言うことができます。