中断法:言いかけてやめようとして、やっぱり言うもの
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関連レトリック中断法

中断法 ちゅうだんほう suspension

『D・N・ANGEL』1巻123ページ(杉崎ゆきる/角川書店 あすかコミックス)
  • 冴原警部「どこへ
  • いかれるのですかな
  • 総司令殿」
  • 日渡(総司令)「…逃亡する場所で
  • はりこんでます
  • 警官数人
  • お借りしますよ…
  • …きっともう…

  • 盗まれていると
  • 思われますから…
-『D・N・ANGEL』1巻123ページ(杉崎ゆきる/角川書店 あすかコミックス)
  • 定義重要度2
  • 中断法は、言いかけてやめようとして、やっぱり言うというレトリックです。ようするに、言い終わったと思えたはずが、あとで言葉をつぎ足すというものです。

  • 効果

  • 効果1感情的になっている様子をあらわすために使う

  • コミックスなどの創作物では多くのばあい、ワザと表現をプラスしているといえます。その効果は、いろいろあります。「ためらい」「怒り」「気持ちの高ぶり」などが、表現できます。表している感情については、ほとんど「 頓絶法」と同じです。
  • キーワード:感情的、感情に走る、ためらい、情緒、逡巡、たじろぐ、ひるむ、しりごみ、怒り、腹が立つ、腹を立てる、立腹、いきどおる、むかつく、気にさわる、気分がたかぶる、気がたつ、興奮
  • 使い方
  • 使い方1あとから言い足す

  • 単なる「言い足し」をあらわしていることもあります。つまり、言おうと思っていたことにピッタリの表現が、すぐには思いつかなかった。でもあとから見つけたので、言い足した。現実の会話では、そういったことも多くあります。
  • キーワード:言い足す、言いなおす、言い継ぐ
  • 例文を見る)
  • 例文は『D・N・ANGEL』1巻。

    日渡という少年は、中学生でありながら警備の「総司令」も兼ねているという、すごいヤツ。

    今回は、ある事件に立ち合っていた。しかし、その冷徹な頭から出た結論が、
    きっともう盗まれている
    というものでした。けれども単刀直入それをに言うのは、はばかられたのでしょう、一回「きっともう…」と口をにごしています。でもやっぱり「盗まれていると思われますから」と言い直しているのが、「 頓絶法」と違うところです。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「中断法」と「ことばの挿入」との関係
  • この「中断法」というレトリックを、「 挿入節」や「 挿入句」のグループとする考えもあります。

    どういうことかというと。
    挿入節」は、たくさん文を挿入してから、本文に帰ってくる。
    挿入句」は、あんまり文を挿入しないで、本文に戻ってくる。
    そして「中断法」は、余白と空間を挿入しただけで、本文を続ける。

    といったわけで。「ことばの省略」と考えられがちな「中断法」なのですが、「ことばの挿入」として見てみるのもよいかとおもいます。

  • 深く知る2「中断法と「疑惑法」との関係
  • かたや、「……」と黙ってしまう「 頓絶法」や「中断法」。かたや、語句を並べることになる「 疑惑法」。見た目には逆なのにも関わらず、意外にも近い関係にあります。なぜならどれも、「言葉に迷っている」という点で共通しているからです。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 中断法
  • 呼び方1
  • 中絶・中断話法
  • 参考資料
  • ●『レトリック辞典』(野内良三/国書刊行会)
  • 「中断法」について、かなり多くの解説がさています。もしも、1冊だけを資料にして「中断法」を説明せよと言われたら、この本をオススメします。